心療内科は、鬱や不安障害といった疾病の患者さんが受診します。
こうした患者さんは、自分の症状を詳細に訴える場が欲しくて、信頼できる相手に聞いてもらいたいという願望が強いと言えます。
主治医とメール等のやり取りを通じて、患者さんの日常生活の活動や心情について報告する場を設けている心療内科もありますが、その多くは高額の自由診療で、保険診療の心療内科では、患者の思いを十分聞いてもらえる場があるとは言えません。
この点、患者さんと直接接する時間が長い看護師は、患者から過度に頼られる傾向があります。
患者さんは身近な存在である看護師に自分の訴えを聞いてほしいという思いを強めがちなのです。
看護師は、最大限患者の要望に応える義務がありますが、あまり過重な負担は避けなければなりません。
問診する際には、看護師の関われる範囲を予め明確に伝えておくことが重要です。
親切な態度で接することは大切であるとは言え、何でも聞いてあげるという姿勢を示すのは好ましくないのです。
もちろん、患者さんの容態によっては、じっくりと話を聞くことが必要なケースもあるものの、他の患者が不平等感を持たないよう配慮が欠かせません。
診療の主体は医師であり、看護師はその補助役であるということを患者さんが認識すれば、過度に依存されることはないでしょう。
看護師は、患者の気持ちに寄り添いつつ、適度な距離を取れるコミュニケーションスキルが求められるのです。
このようなバランス感覚を身につけるのは難しいため、先輩看護師などに相談することも大切です。